「選別協力団体」 様々な分野で活動する5つの団体とJFSA
事務局 入江賢治

会員になるには
JFSAの活動は会員の方々に支えられています。
会員になるには下記の郵便口座に年会費をお振込みいただくか、 直接JFSA事務局まで直接お持ちください。
●2013年度(2013年10月〜2014年9月)分の会費になります。
●会員(正会員)には総会の議決権があります。
●会員、支援メンバーには年3回の会報と、 年1回サポーターグッズ(アルカイールの生徒が作ったものなど)を郵送いたします。
※サポーターグッズのサンプルはこちらからご覧ください。

◆郵便振替口座番号 00160-7-444198
◆加入者名 JFSA
≪年会費≫
【 会員(正会員)】

個人1口\5,000-/団体1口\50,000-
【 支援メンバー】
個人1口\2,000-/団体1口\10,000-


※通信欄に「会員」または「支援メンバー」「個 人」または「団体」口数をお書き添えください(郵便振替用紙 サンプルはこちらからご覧ください)。
※カンパ金をご入金いただく場合も上記口座をご利用ください。通信欄には「カンパ」とお書き添えください。
ボランティア募集中
 
JFSAでは活動を支えるボランティアを募集しています。
【作業内容】
@和服の選別、ハギレ作成、値段付け、など
A寄付された切手などの整理。
B会報などの郵送準備作業。
Cパキスタンへの古着コンテナ詰込み作業など。
Dフリーマーケットやチャリティ古着バザールなど古着販売に関わる補助作業。
【作業日】
作業内容により異なります。JFSA事務局へお問合せください。
【作業場所】
D以外はNPO法人JFSA事務局で行います。
*参加ご希望の方はJFSA事務局までお気軽にお問合せください。*ボランティアは無償で、交通費などの手当てもありません。ご 了承ください。
ボランティア募集中
【NPO法人JFSA事務局】
住所:〒260-0001
千葉市中央区都町3-14-10
業務時間:10:30〜19:00
(木曜定休)
電話/FAX:043-234-1206
E-mail:jfsa@f3.dion.ne.jp

 選別協力団体とは、地域で活動している団体やグループに古着の選別・販売などを継続的に行なってもらう取り組みです。昨年度、実験取組から始め、今年度に入り本格的な取り組みとなり、だんだんと形になってきました!
現在は、5 つの団体が定期的に古着の選別作業に入るとともに、古着の販売の方にも少しずつですが協力をしていただき、JFSA の事業を一緒に担っています。

JFSA海外衣料支援センターに届いた古着等は、今回、ご紹介する選別協力団体のみなさんの力を借りて選別作業を行い、パキスタンに送り出しています。
 昨年8月から実験取組を開始し、11月から本格的にスタートし、現在までに計37トン882キログラムを選別していただきました。
また、選別量に応じてお支払いし、各団体の活動資金となる「選別協力金」(一次選別1キログラムあたり8円)は計303,049円になりました。  
JFSAとAKBGは、日本とパキスタンで、ともに古着販売事業を通して、アル・カイールアカデミーの自立運営の支援を行っています。選別協力団体の参加は、双方の事業を推進することにつながります。具体的には、各団体が集団(10人前後)で作業を行うことにより、作業スピードが格段に上がり、短時間で多くの選別ができるようになりました。
それにより、現在は年3本のAKBGへのコンテナ送り出し回数を、将来的には増やせる可能性があります(古着の回収量の増加が必須です)。
また、団体には作業協力だけでなく、古着の委託販売もお願いしています。
まだ、実験取り組みの段階ですが、そのことで、国内販売 の販路が増え、販売収入の増加が見込めます。

 選別協力団体の目的は、いろいろな人たちが共同作業を通して交じわっていく場をつくることにもあります。私は団体のみなさんと一緒に作業をする中で感じたことがあります。
それは、「薬物依存」、「引きこもり」、「障害」といった言葉に対して、これまで自分が持っていたイメージが、いかに貧弱なものだったかということです。
実際にダルクやセカンドスペース、オリーブハウスのメンバーと接点を持つと、イメージの中では見えていなかった、生身の一人ひとりのメンバーの姿や生活史があることに気付かされます。具体的な人間関係を通して相手のことを知っていくことは、アル・カイールアカデミーの子どもたちについても同じことです。
働く子どもには「かわいそうな」イメージが付きまといますが、自分で稼ぎ、家族を支えることに誇りを持って働いている子どももいます。  
各団体が取り組む活動について、言葉からではなく、目の前にいる仲間のこととして皆で考えていきたいと思います。そして、そこに社会的な背景があるとすれば、 私たちの社会のあり様であり、私たち自身のこととして考えていくことになるのではないでしょうか。  
アル・カイールアカデミーのこと、地域社会のこと、お互いのこと、いろいろなことについて考えていける仲間の集まる場にしていきたいです。

■2011年9月現在 選別協力団体
NPO法人セカンドスペース ・・・ホームページ
不登校・ひきこもり・ニート・フリーターといった方々の社会復帰や学校復帰の支援を行っている団体です。
ワーカーズコープちば ・・・ホームページ
24年前(1987年)、船橋の高根台地域で設立され、人と地域に役立つ仕事を起こし自ら運営する「協同労働の協同組合」として活動を続けてきています。
社会福祉法人オリーブの樹 オリーブハウス ・・・ホームページ
オリーブハウスでは障碍者の自立、社会参加を支援しています。
千葉ダルク ・・・ホームページ
ダルクとは、覚せい剤、麻薬、向精神薬、睡眠薬、シンナー、アルコールなどの薬物に依存している人たちが、毎日行われるグループセラピーを通し、社会的にも回復したいと願う人たちの手助けをするリハビリ施設です。
あみあみ
「あみあみ」は生活クラブ生協みつわ台デポーの中まで結成されたクラブで、1〜2ヶ月ごとに開く定例会では、編み物をしながらおしゃべりを楽しみ、おやつには生活クラブの消費材を試食して組合員と地域の方々との交流を深めています。

あみあみさんの作業のようす
お気に入りのマイケルジャクソンのCDをかけながら 
 


 「第36回送り出し古着等のコンテナを
          アル・カイールアカデミーへ受け渡しました。」
海外事業担当事務局 西村光夫


【コンテナが8月6日カラチ港に到着しました。荷物の抜き取り(?)もなく搬出できました】  日本からのコンテナの出港が、税関検査でレントゲン検査を行なうよう決定されたために、カラチ港の到着が予定より1週間遅れの8月6日になりました。前日の5日は、税関の職員組合のストライキがあり、これで荷物検査がだいぶ遅れるのではと心配しました。
 しかし、検査場が検査を待つコンテナで一杯になったため検査が簡素化されて書類検査のみで済みました。そのため、コンテナは開かれることなく、荷物もバラバラにされたり盗まれたりすることもありませんでした。
(昨年あたりから検査の過程で荷物が抜き取られることが少なくなりました。通関業者から税関内部の改革がなされたとも聞きました。そして、来年はどうなるか分からないとも。税関の人事が2年ごとに代わるからと…??)
JFSAのコンテナは5日後の8月11日に港から搬出することができました。

【今回の受け渡し前の価格交渉は、交渉を行うこと自体が困難でした】  
価格交渉は2回行ないました。
価格交渉はいつもムザヒル校長宅で行なっていましたが、今回は第1回目はパシュトゥン人が経営している路上の大衆食堂、第2回目はハジケンプ(パシュトゥン人が多数を占める居住区で古着卸問屋街)のワリーさん(古着卸業者)の事務所で行ないました。
交渉の場所を変更した理由は、政治絡みの民族抗争で毎日のように殺し合いが行なわれていたからです。抗争している民族とは、アル・カイールアカデミーの関係者のほとんどが含まれるマハジール(インド分離独立の時にインドよりパキスタンに避難してきたイスラム教徒であり民族としてはインド系)と、卸業者であるワリーさん達パシュトゥン人(パキスタンとアフガニスタンの国境を挟んで居住し、300万人の部族を構成している)です。これらの民族はカラチ市内にモザイク状態で住み分けをしています。
つまり、抗争が始まるとお互いの居住エリアへの行き来が危険になります。少数派であるワリーさん達にとっては、自分達のエリアを出ていくということ自体がとても危険となります。
それで、マハジールのエリアであるムザヒル校長宅での価格交渉を避けたのです。


到着したコンテナ
断食月だったため、日が沈み食事をとった19時以降に日おろし作業を行ないました

【卸売価格交渉の結果は以下のとおりです】
(交渉時のレートは1ルピー=0.89円)
 ○キログラム当たりの価格・・・・古着等67ルピー(59.6円)
バッグ類150ルピー(133.5円)
 ○売上額・・古着等総量22084KG×59.6円=1316206円
バッグ総量1162KG×133.5円=155127円
合計 1471333円
 ○経費 日本サイド(海上運賃、通関手続き料、古着等代金)462225円
パキスタンサイド(関税、通関手続き料など)111454円
合計 573679円
◎利益 売上額合計1471333円 − 経費合計573679円 = 897654円


前のページへ


「パキスタン派遣報告」
海外事業担当 事務局 西村光夫

●「日常的にある危険なのです」
 アル・カイールアカデミー校長のムザヒル氏の言葉

アル・カイールアカデミー本校とカチラクンディ分校が あるカラチ市内の治安が非常に悪くなっています。私が滞 在中の6月末から8月中旬までに、現地新聞報道によると政 党絡みの民族間抗争によって300人以上の人がカラチ市内で 殺されました。
現在のところ、カチラクンディに住む若者 がバスに乗っている時に銃撃戦に巻き込まれ、車体を突き 抜けた銃弾を受け死亡した以外は、生徒・先生などアル・ カイールアカデミーの関係者に被害者は出ていません。
 今回派遣されたJFSA事務局5名と同行者1名は、カラチ市 内とはいっても現地活動範囲内に危険個所は少ないという こともありましたが、アル・カイールアカデミー関係者の 安全に関する適切な指示や努力によって危険を回避するこ とができました。
 しかし、JFSAとしては、このように危険が高まる中で現 地活動を継続することは困難になるだろうとムザヒル校長 に話しました。
すると彼は「パキスタンは63年前に民族の 違いを超えてイスラームの下に建国されました。
しかし、 人々の心からイスラームの教えが遠のくたびに過激主義や 民族主義・経済主義が力を持ち、建国まもなくから争い事 が続いてきました。だから今ある危険は、人々の心に根差 した暮らしぶりと共に日常的にある危険なのです。
私達の 活動はこの危険を避けたり対抗することではなく、この危 険を生み出す理由や仕組みに向き合うことだと思います。
これらの危険から仲間を守る心や術(すべ)を学び、これら の危険を生み出す仕組みを変えていく人を育ててゆくこと が教育なのだと思います」と言いました。彼の言葉が真っ すぐに伝わって来ました。
 JFSAがパキスタンで支援活動を始めて16年になります が、ムザヒル校長が述べたように当初から平穏な社会環境 ではありませんでした。しかし、私達はこれら日常にある 危険によって、今まで被害を受けたことはありませんでし た。仲間であるアル・カイールアカデミーに関わる人々(生 徒・卒業生・親・先生・支援者)に守られてきたのだと思い ます。
 これら日常にある危険は今後もっと深刻な状況になって くるかもしれません。
しかし、仲間である彼らは危険に満 ちた生活の場から撤退はできないのですから、私達は彼ら に寄り添える術(すべ)を彼らとともに学んで現地活動のあ り方を考えてゆきたいと思います。


●「商売は平和でなければ、儲からないと思うよ」
            古着卸業者ワリーさんの言葉  

ワリーさん(32歳)の故郷は、アフガニスタンの国境沿いにある北ワジリスタン地域にあります。
この地域はアメリカ軍の無人機によって頻繁に空爆を受けています。
テロリストを殺害するためだとその正統性をアメリカは主張していますが、女性や子供を含んだ一般の村人も犠牲になっています。ワリーさんの親族も殺されたそうです。
そのため、アメリカをひどく憎んでいます。時には大きな地声でタリバンの自爆攻撃を称賛もします。
 ある時、そんな彼が穏やかな声で「商売は平和でなければ儲からないと思うよ。まともな商売であればね」とつぶやくように言ったのです。
ふだん気の荒い物言いをする彼ですが、心(こころ)根の優しい男(ひと)です。憎しみに駆られ戦闘的な態度を見せていても彼の本音の気持ちから出た言葉だと思いました。
 彼は、父親が始めた古着商を子どもの時から手伝い、父親が病に伏してからは親戚を含めた大家族をささえるために懸命に働いています。そんな彼の商売に対するこのようなつぶやきが、様々な争いごとを抱えたパキスタンで説得力を持つことを切に願いたいと思います。

ワリーさん(左)とじゃれ合う(?)西村事務局

前のページへ


 「縫製工房 設立への道・・・
JFSA理事長 田邉紀子/縫製技術者 深澤和枝


■仲間といっしょに (理事長 田邉紀子)

縫製工房はアル・カイールアカデミーの3階にあります。
壁には製作見本のエプロンが掲示され、高いところに並んだ窓から光が入っています。部屋はきれいに片付けられていて、ミシンや大きな作業台、アイロン台が並んでいました。
 工房のメンバーはみな女性で、リーダーのサルマさんと6人のスタッフ(アル・カイールの卒業生と生徒、生徒の親)が、生活クラブ風の村、社会福祉法人グリーンコープから注文をいただいている、介護用エプロン製作のトレーニングをしていました。
昨年の派遣時に見学した、輸出用の製品を作っている縫製工場とはまったく違っていました。
 パキスタンは世界有数の綿花生産国で、日本の綿糸輸入相手国ではインドネシアと1位を競う国です(昨年のパキスタン大洪水は綿花生産地に大きな被害をもたらしました)。
縫製関係品目は主要輸出産業で、輸出総額の50%以上を繊維および繊維製品が占めています。しかし、工場で働く人たちの賃金は低く、雇用も保証されていません。女性に対するセクハラもあり ます。アル・カイールアカデミーの最初の10人の生徒の一人で、2010年6月に招日したママダリさんは、自分の児童労働の体験を語る中で、工場長が働いている女性をレイプした・・・とつらい記憶を伝えてくれました。きびしい暮らしは、生活を支えるためにそのような仕事でも耐えなければならない状況を強いています。
  そうした中で、ここの縫製工房には仲間といっしょに仕事をする安心感があります。スタッフ一人一人が、ともに働く仲間と自分自身の暮らしを、大事にしていく環境が作られようとしています。私自身は縫製の技術も知識もほとんどありませんが、がんばろう!という気持ちが、今回の派遣でさらに大きくふくらんでいます。


■女性の自立の場としての縫製工房 (縫製技術者 深澤和枝)

縫製工房の技術担当として3度目の訪問をさせて頂きました。
いろいろな勉強と新しい発見、ステキな出逢いと、とても貴重な経験をさせて頂いています。
 さて、現在の縫製工房はいよいよ第1作目のエプロンの製作に入るところです!!私はとても楽しみでワクワクが止まりません。
壁にぶちあたっては解決してそしてまた壁。
試行錯誤を繰り返しながら縫製工房は少しずつ形になってきました。
私が初めに感じた1番の問題は、縫製に対しての考え方の違いでした。日本で売られているものは縫製がとてもきれいです。
きれいが普通なので、雑に作られたものは日本では売れません。
私は中国の縫製工場で働いた経験がありますが、このことを伝えるのに非常に苦労したことを思い出しました。なぜきれいでなければいけないのか私にも分からなかったからです。
ただ今回は少し違いました。ただ製品を作ることが目的ではなくて、パキスタンの女性が自立することを目的にした工房だからです。難しいことに挑戦すればより高い技術を身につけることができます。
そして将来独立して富裕層のカミューズシャルワールを作れるようになりましょう!!と伝えられます。今回、そのことを通訳して頂いている時の現地のスタッフのとても真剣な表情を見て少し安心しました。目標を持って努力していると、それが自然と仕事への誇りになります。仕事の誇りは時々自分を支えてくれたりします。私も同じ技術者なのでよくわかります。これは縫製工房設立のもう一つの目的です。

 今年の2月の訪問の際には今回のエプロンの作り方を伝え、7月からは流れ作業のトレーニングを開始しました。そしていよいよ本番です。こうやってひとつひとつ問題を解決しながら、まず1作目のエプロンで一連の流れを確認して今後に繋げていけたらと思っています。

アル・カイールアカデミーに通う女の子たち

縫製工房スタッフと深澤さん(左端)


前のページへ

トップページへ
トップ よくあるご質問  
会報26号より *写真をクリックすると大きく表示されます