パキスタン 事務局派遣報告 海外事業担当事務局 西村光夫
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以下の派遣目的をもってパキスタンに3ヶ月間滞在しました。この派遣目的に沿ってご報告します。 【派遣目的】 1)AKBG事業の推進 @スラムの女性の自立のための縫製工房設立計画の推進協力 ・社福風の村さん、グリーンコープさん発注の介護用エプロンの製作を通して、縫製工房の設備・生地などの原材料の確保・縫製技術の確立などの縫製工房の運営管理の課題に取り組んできました。そして4月11日に工房スタッフ(アル・カイールアカデミーの卒業生、生徒の母親)の企画によるオープニングのイベントを行ないました。このイベントに、アル・カイール職業訓練所の運営支援をしている地球市民交流基金アーシアンさんと業務用エプロンの発注をして頂いたグリーンコープさんに参加して頂きました。JFSAは田邉理事長が参加しました。ささやかなベントではありましたが、工房スタッフのスラムの女性たちの自立への希望と熱意が感じられました。 Aコンテナ受け渡し確認4月9・11日に倉庫到着(卸価格交渉立会い4/1、4/4) ・グリーンコープさんとJFSAのコンテナが同じ船で3月30日にカラチ港に到着しました。グリーンコープさんのコンテナは第1回ということもあり貨物検査に少し時間がかかり、税関の手数精算に間違いがあるなどして港からの搬出が予定より1日遅れ4月11日となりました。JFSAのコンテナは予定どおり4月9日に行なわれました。コンテナの荷降ろしは、売り先の卸業者ワリー氏の倉庫があるエリアで行われました。このエリアは3月初めごろから民族抗争が激しくなり、頻繁に銃撃戦が発生していました。そのため、コンテナ古着受け渡しの確認は、JFSA・グリーンコープさんのコンテナともコンテナの扉を開いて1時間ほどの作業に立ち会い、早々にこのエリアを立ち退くという状態でありました。第1回目のコンテナ受け渡し確認のために訪パされていたグリーンコープの皆さんには、荷降ろしに最後まで立ち会ってもらうことが出来ず残念でした。 ・グリーンコープさん、JFSAの2コンテナのアル・カイールアカデミーが受け取る販売利益は、グリーンコープさんのコンテナで約107万円(現地通関業者の請求金額が現段階では明らかになっていないので昨年の数値で計算しました)、JFSAが約98万円となります。合計で約205万円です。円に換算するとパキスタンの物価は7分の1程ですので、約1435万円になります。100人前後の先生の給料合計が1ヶ月60万程ですから約3カ月分を確保できることになります。 Bスラム地区の素焼陶器販売事業を行なうための調査活動 ・ゴミや中古靴を燃やして作られている素焼の陶器の窯をガス窯に替えて、この地区の大気汚染を解消し、ガスによって高温で陶器を生産することで商品価値を上げようという計画です。この地区には、学校がなく教育の機会を受けられない子ども達が沢山います。このガス窯建設計画で得られる利益でアル・カイールアカデミーの分校を開校する予定です。この計画は、このスラムの人々の同意も受けていますが、ガスの供給不足でガスの価格が高騰しているため、しばらくは計画の実施を見送らせざるを得ない状況にあります。 2)アル・カイールアカデミー教育事業の確認 ・学校訪問、子どものインタビューについての報告はJFSA事務局の報告をご参照ください。 3)APF(アジア民衆基金)を利用して事業を立ち上げるための調査活動 ・オルタートレードジャパンの堀田氏が訪パして、洪水被災地の復興支援を目的とした洪水被災地の事業起こしの調査を行って頂きました。 4)JFSA事務局、同行者の派遣受け入れ ・JFSAの事務局員は担当部署に関わらず、年に1回は現地訪問を行なうことになっています。今回は、事務局員4名を派遣しました。また、アルバイトの方たち3名にも事務局に同行して訪パして頂きました。 5)日本人会婦人部講演 ・日本人会婦人部にはアル・カイールアカデミーの訪問や、婦人部のバザー収益の寄付などを年間を通して行なって頂いています。日本人会婦人部の総会で講演をさせて頂きました。 【派遣活動内容】 ○1月(20日より) @JFSA事務局田邉航太郎、アルバイト高木の受け入れガイド A東洋大学の子島(ねじま)準教授の学術調査等のガイド(1/20〜2/2) ○2月 @縫製工房の事業推進の協力 Aスラム地区の素焼き陶器販売事業を立ち上げるための現地調査 Bアル・カイールアカデミーの教育事業の今後についてムザヒル氏の考えを聞き取り、 報告書を作成する。 C事務局依知川、大小原、アルバイト渡部の訪パの受け入れ(3/2〜3/9 ) 青空学校訪問など DAPF(アジア民衆基金)の堀田氏(ATJ)の訪パ受け入れ、洪水被災地シター村 でのゴマ栽培調査(ゴマ油製造事業の可能性を調査)(2/18〜2/22) ○3月 @縫製工房設立オープンイベント(3月末)の準備協力 Aコンテナ受け渡し確認 (3/30、グリーンコープ・ファイバーリサイクル事業部のコンテナ、JFSAのコンテナ、カラチ港到着) B毎日新聞大阪本社社会部のアル・カイールアカデミー取材の案内 ○4月(20日まで) @理事長田邉、アーシアン代表藤田さん、中村さんの訪パ受け入れ(4/6〜4/13) AJFSAコンテナを港より搬出。ワリー氏の倉庫に荷降ろし(4/9) B縫製工房設立オープニングイベント(4/11) Cグリーンコープコンテナを港より搬出。ワリー氏の倉庫に荷降ろし(4/11) Dグリーンコープの第1回コンテナ受け渡しのためのグリーンコープ職員等の視察受け入れ。東原さん、城戸さん、松本さん (4/9〜4/14) E日本人会婦人部に縫製工房事業についての協力を求める F現地NGOの訪問(カラチ市内の福祉学校、国際NGO等) |
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アル・カイール縫製工房オープニングセレモニーに参加して 理事長 田邉紀子
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4月11日、アル・カイールアカデミーの3階で縫製工房のオープニングセレモニーが行なわれ、ムザヒル校長、タスニーム副校長、工房スタッフ、AKBGの理事とスタッフ、今回パキスタンを訪問されたNPO法人アーシアン、グリーンコープの方々、JFSAからは海外事業担当事務局西村と私が参加しました。 セレモニーの挨拶で私は「パキスタンには貧しい人々の数は7割以上いる。この人たちが協力し合えれば大きな力になる。人々が結びつくことは簡単ではないと思う。でも、学校で学ぶ機会を得た子どもたちがいて、それを支えるいろんな人たちが協力しあって縫製工房のオープンができた。ほんとうに嬉しい。」と話しました。 昨年11月に最初に出来上がったエプロンは、生地や染色、縫製の仕上げなどにいくつもの問題がありました。 また、オープン前に工房を離れたスタッフもいます。でも、今、すすめる過程で出合う課題を、皆で解決するために協力しあう場が生まれました。これからもたくさんの課題にぶつかるかもしれませんが、課題への取組みがささえあう関係をいっそう深め、広げることにつながる、そんな歩み方をしていけたらよいと思っています。 パキスタンでも日本でも、一人ではどうしようもないと感じる現状を前にしたときには心が萎みますが、たくさんの人々の思いの糸を縒り合わせるようにしてはじまった小さな縫製工房は、“次は何が始められるだろう”というわくわくする思いをかきたててくれました。 4月8日の日曜日、大型バス2台を借りてカチラクンディ分校の高学年の男の子たち、学校の先生たち、縫製工房のスタッフたちといっしょに、カラチ市の海岸オックスベイにピクニックに行きました。 皆、寄せてくる波を受けながら歓声をあげていました。 その中で、工房スタッフの一人ケークシャーが強い引き波に挑戦するように、皆より少し深い場所に立って海に向かっている姿が目にとまりました。 ケークシャーはエプロン製作で、中央のはぎ合わせとその両脇のステッチがけ、出来上がったエプロンのパッキングを担当しています。細い体に力を込めて波に向かう彼女の後ろ姿は、波の強さに耐えることで、困難に挫けない自身の強さを確かめようとしているふうにも見えました。 縫製工房の計画が具体的なかたちをとりはじめたのは、 “ファイバーリサイクうらやす”から設立10周年の記念品として、アル・カイールアカデミー職業訓練所にエプ ロン製作の依頼をいただいことがきっかけでした。 その後、自立のための工房を立ち上げる提案に応えて“生活 クラブ生協・東京”の40周年記念企画としてギャルソン・エプロン、“ファイバーリサイクル四街道”15周年の記 念品にティシュボックスカバーを取り組んでいただきま した。 そして、“生活クラブ風の村”、“グリーンコー プワーカーズ連合会”から介護事業で働く方たちが使うエプロンの注文をいただき、縫製専門家の佐々木さん( 旧姓:深澤さん)の協力を得ながら、昨年から試行錯誤を繰り返してすすめています。 |
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会報28号より *写真をクリックすると大きく表示されます |