【衣類等のタイ輸出について】
①JFSA設立当初からの課題
JFSAは1995年の団体設立以来、パキスタン・カラチのスラム地域での学校運営を支えるため、皆様から寄せられた衣類等のうち約80%をパキスタンへ輸出し、現地の事業グループ(※昨年AKBGからPJカンパニーへ移行)が販売した収益を学校の運営費としてきました。
一方、約20%は国内販売を行ない、収益をJFSAの活動資金にさせていただいています。
パキスタンへの輸出は1996年の第1回以降これまで計79回行なってきました。
これまでJFSAは、パキスタンで価格の高い毛布やタオル、ハンカチ、下着などを含めて皆様から寄せていただくことで現地の販売収益を引き上げる努力を重ねてきました。しかし当初から現地では女性用衣類や冬物衣類等の価格が低い状況がありました。そこでパキスタン以外への衣類等の輸出の可能性を調査するため、2016年タイへ事務局派遣を行いました。
※AKBG=アル・カイール事業グループ、PJカンパニー=パキスタン・アンド・ジャパンカンパニー。現地で事業に専念する形として、昨年PJカンパニーが新たに設立されました。
②コロナ禍の影響
2020年に始まったコロナ禍により、世界中で輸出用コンテナの不足や海上運賃の高騰が起こりました。特にJFSAの輸出先であるパキスタンへの海上運賃は以前の6倍以上という状況が続きました。JFSAはこの事を深刻に受け止め①の課題の解決も含め、パキスタン以外の輸出先を検討するために昨年9月にPJカンパニーのメンバーと共にタイを訪問しました。タイでは地元事業者の協力のもと市場調査を行い、今年度の年間計画にタイへの輸出を決定しました。
③パキスタンにおける輸入制限
パキスタンでは対外債務の返済や、世界情勢の影響による燃料価格の高騰、洪水被害の影響などの要因が重なり、昨年11月には外貨準備高が輸入2ヶ月分に減少、更に今年1月には1ヶ月分にも満たない状況であると報じられています。パキスタン政府は国際通貨基金(IMF)へ支援の要請を続ける一方、外貨の流出を抑えるために輸入に対する厳しい制限をかけています。中古衣類等の輸入については輸入関税が以前の2倍以上となり、海上運賃や日本とパキスタンで発生する様々な費用を含めると、現地で販売利益を生むことは不可能であると判断せざるを得ない状況です。
④タイの古着マーケットについて
タイには日本からも多くの古着が輸出されており、パキスタン同様に国内消費だけではなく、各国への中継地としての役割も担っています


《衣類等をタイへ輸出する理由》
上記①〜④の内容をまとめると以下の通りです。
①女性物等の価格が低い(JFSA設立当初からの課題)
②海上運賃の上昇(コロナ禍で発生し現在は落ち着いてきているものの、以前よりは高い)
③輸入関税の引き上げ(パキスタンの外貨準備高不足の影響)
④タイにも古着の国際マーケットが存在している


タイの古着マーケットの様子
(2022年9月、タイのアランヤプラテートにて撮影。アランヤプラテートはタイ中部・サケーオ県の郡の一つで、カンボジアと国境を接しています。)

タイのアランヤプラテートに広がる古着マーケット

各国から輸入されたベールを開封して販売

店ごとに品目に特徴があるこの店はデニム専門店

青いジャージのズボンには「山田」と名前が入っている

 


◎衣類等タイ輸出のご報告
JFSAはPJカンパニーと協議を重ね、「パキスタン・カラチのアル・カイールアカデミーの支援を衣類等のリユース販売事業を通して行なう」ことを継続するために、2月9日(木)に第1回目のコンテナをタイへ輸出しました
衣類等をタイで販売した収益は、アル・カイールアカデミーの運営資金となります
タイでの販売に際しては、タイで長年古着販売事業に携わるパキスタン人事業者の協力を得て、コンテナ到着時にはPJカンパニーと共に現地へ赴きます。
今後も皆様から寄せられた衣類などをできる限り活かす=「できる限り多くの事業収益をあげ、アル・カイールアカデミーの支援へ繋げる」ため、PJカンパニーと協力して事業をすすめます。
JFSAはこれからも実際の販売事業を通して「古着のゆくえを追いかけ」、皆様へ共有いたします。引き続きJFSAの活動へのご参加を宜しくお願いいたします。
この度のタイへの輸出先変更について、またそれ以外のご質問ついても、お気軽にJFSA事務局へお問合せください。

特定非営利活動法人
日本ファイバーリサイクル連帯協議会(略称JFSA)
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